5.28.2009

Cume

 私が音響作品、または音楽を制作するときは
 いかにその曲で様々な風景を想起させることが出来るか、
 自分の身体が存在しているフィールドから
 いかに遠くへトリップさせることが出来るかに
 重きをおいて音を構築している。
 例えば日本の禅、枯山水といった体験は
 身体的制約を自ら課せるという
 普段とは異なった環境に身体をおくことで
 人の精神、意識を日常から引き離し、
 肉体を通して得られる情報を最小限に抑え
 肉体から精神に意識を移行することで
 身体という物理的制約から解き放たれ
 時間や空間といった概念を超越した
 精神的経験、情報を得ることが出来る。
 ならば視覚情報という人が外界から得る
 80パーセントの情報を遮断し、音響からのみの
 情報に絞り視覚的情報から聴覚的情報に
 意識を移行することで、つまり音響によって禅や
 枯山水の世界を表現することが可能なら
 体験者は視覚的なそれらよりも更に多量の
 精神的経験、情報を得ることが出来るのではないだろうか
 と考えた。

 この"Cume"という作品集は
 音響による日常世界からの逸脱を図り
 それによる超精神的経験、情報を得るための
 一つの方法、という見地から構築した。
 今回は体験者にとって受け取りやすく、聴きやすい
 つまり聴覚的情報に意識を移行し易くあるために
 「音楽」であることを前提にした作品である。
 

 Elesophia "Multifarious Field"
 Time; 11:07
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